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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

初夏と言えばスゲでしょ!-53.エナシヒゴクサ-

今回紹介するスゲは、これまでのスゲに比べると少し存在感がうすい、エナシヒゴクサです。
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茨城県.5月

草丈は30cm前後で、雌小穂の長さが12cmと小型のため、ちょっと目立たないかもしれません。エナシヒゴクサは北海道~九州まで広く分布し、明るい樹林内、林縁、草地に生育します。日本の分布と、生育環境を考慮すると、生育環境の幅はかなり広いといえます。ですから、見た目は地味ですが、慣れれば結構普通に見つけられると思います。
エナシヒゴクサはスゲヒメシラスゲ節の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、特長は次の4点です。

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このように藪の中でひっそり?と群生します(東京都.5月)
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①生え方:地下茎で増えるため群生します。
②大きさ:30cm前後です。
雌小穂(ししょうすい):柱頭(ちゅうとう)3分岐。雌小穂に柄がありません。
④葉:葉の幅は24mmぐらいで、柔らかい感じです。苞葉の付け根に鞘はありません。

なかなか「これだ!」といえる特長がないので、見慣れることがポイントでしょうか。苞葉の付け根の鞘については、また今度説明したいと思います。勘がよい方は“柄ナシ”とつくから、柄のあるヒゴクサもあるのだろうと想像できると思います。

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ヒゴクサ(神奈川県.5月)普通はエナシヒゴクサとは似ていません。そのうち紹介します。

ヒゴクサは果苞(かほう)だけ見るとエナシヒゴクサに似ていますが、写真のように明らかな柄があり、雌小穂がぶらさがります。たまにエナシヒゴクサでも最下部に5mm程度の柄がでることがありますが、ぶらさがることはないので、そんなに迷うことはないと思います。もう1種似たスゲに、ヒメシラスゲがあります(写真なし)。典型的なヒメシラスゲは雌小穂が全て近接することで、エナシヒゴクサと見分けられますが、たまにどちらか迷うようなこともあります。詳しくはヒメシラスゲを紹介する時に記載します。