身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2020年の出会いベスト5(第1位)-343.イワチドリ-

今年一番テンションがあがった植物はイワチドリです。ダントツの第1位といってよいです。

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岐阜県にて(5月20日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

イワチドリのような岩場につくランが手に取れる近さで見ることができたというのが、すごい驚きでした。イワチドリのような小型できれいなランは乱獲の影響が著しく、手の届く個体は殆どが採られてしまうといっても過言ではないと思います。

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かなりの個体数が生育していた。このまま人知れず生きていってほしい。

今回も最初に気づいた個体は双眼鏡確認でした。岩場の高い位置にピンク色の小さな花を点々と確認することができました。岩場につく小型のランは花が無いと本当に確認が難しいです。狙ってきたわけではなかったので、花の時期に来れたのは本当にラッキーでした。花が無かったらイワチドリの存在には100%気づかなかったと思います。ただ、この状態だと「ランだ!」ということには気づいても花や葉の形までは当然わからず、最初はウチョウランかなと思いました(岩場につくランでは、これまでウチョウランしか見たことが無かったので)。手は届かなくても花や葉の形がわかるような個体は無いかとブラブラ探していると、「あった~!しかも初見のイワチドリだ~😆!」小躍りしたくなるくらいうれしかったですね~(あんまりピョンピョンすると危ないので、実際は小躍りしてないです)。

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このような環境にあってこそ感動する。植木鉢にあっても感動はしないかな。

イワチドリはラン科ヒナラン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州(中部・近畿地方)・四国・伊豆諸島に分布します。暖温帯の谷間の岩場に生育します。環境省の絶滅危惧IB類に指定されていて、かなり個体数が少ないと思われます。見つけてもとるのは写真だけにして、そっとしておいてあげて下さい。

イワチドリの特徴は次の3点です。

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①生育環境と大きさ:谷間のやや湿った岩場に生育します。大きさはだいたい15cm以下です。

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②葉:花茎1本に対して1枚の葉がつきます。葉は茎の中央付近より下側につきますが、地際ではありません。葉は完全に茎を抱き、長楕円形です。

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③花:花は茎の先端に数個つき、唇弁(しんべん:写真参照)がとても目立ちます。花は淡いピンク色で、唇弁に紅紫色の斑点があります。唇弁の形が特徴的で、人型に4裂し、大きさは8-12㎜、子房よりも短い距(きょ:写真参照)があります。

類似種としては、同じような湿った岩場に生育するウチョウランがあげられます。ウチョウランは唇弁が3裂し、葉が線形で1本の茎に対して2-3枚付く点で異なります。手に取ってみることができれば両者を間違うことはないですが、手に取れない高い岩場についていると、どちらかわからない場合もあるかもしれません。