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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

2018年の出会いベスト5-259.キンセイラン-

2018年は中部地方以東にでかける機会が多い年でした。ただ、夏場以降は仕事が忙しく、高い山に登る機会のなかった年でもありました。それでも今までに見たことがない植物にも出会え、今年もよい一年でした。年末恒例のベスト5、今年の第5位はキンセイラン~。

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北海道網走市にて(7月25日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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自宅の撮影記録を見ていたら、ほぼ10年ぶりの出会いのようでした~。

キンセイランにはこれまでにも出会ったことが何回かあります。でも、こんなに花がきれいな状態の個体に出会ったのは久しぶりでした。ちょっと暗い静かな森(熊さんが出てきそう)の中で日光のスポットライトを浴びている姿が印象的でした。

キンセイランはラン科エビネ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州までと分布域は広いですが、簡単には見ることができない植物だと思います。冷温帯~亜高山帯の樹林内に生育するので、見る機会は北海道や東北地方が多いような気がします。これまでに私が見た場所は針葉樹林もしくは針葉樹がまじるような樹林が多かったです。「人里の森」というより「奥山の森」に生育している印象を受けます。

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きれいな花は山で出会うからうれしいもの。偶然の出会いを大切に。

ラン科の植物は盗掘の被害に会うことが多いですが、キンセイランもその例外ではなく、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類に指定されています。キンセイランは冷涼な森林に生育するランなので、栽培するには気温、湿度、日光の管理が難しいと思われます。持ち帰っても素人では長生きさせるのは難しいので、山で出会った時は取るのは写真だけにしてくださいね

キンセイランの特徴は次の3点です。
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①葉:葉は地際から数枚が生え、葉脈が顕著で深い縦じわが目立ちます。このような葉はエビネ属の葉に共通の特徴ですが、シュロソウ科のシュロソウやカヤツリグサ科のタガネソウも似たような雰囲気の葉をつけるので、葉だけで同定するには少し慣れが必要だと思います。葉の幅は2-3cm
と細く、形状は細長い楕円形となります。
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②花のつき方:直立した花茎(かけい:花だけがつく茎)に数個の花がまばらにつきます。
③花:花の直径は3-4cm萼片側花弁は黄緑色で、唇弁(しんべん)は薄い黄色(写真参照)です。側花弁が披針形(ひしんけい:かなり細長い卵型)な点が類似したエビネ属との違いのようです。

花が咲いていれば見間違えるような植物はなく、図鑑の絵合わせでも簡単にわかります。逆に葉だけだと、見つけること自体が難しいと思います。