身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

紫色の菜の花-307.ショカツサイ-

ショカツサイとは聞きなれない名前ですが、なかなかきれいな花で、かつ群生することもあるので、見たことがある方も多いと思います。

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岐阜県関市にて(3月22日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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花を近くから見れば、アブラナ科なのが一目瞭然!

ショカツサイは別名ハナダイコンオオアラセイトウ、シキンサイ、ヒロハハナダイコン、ムラサキハナナと呼ばれます。これだけ別名の多い植物も珍しいですね。タイトルに「紫色の菜の花」と書いていますし、別名にハナダイコンなんてついていることからもわかりますが、アブラナ科の植物です。ただ、黄色の菜の花(アブラナ)や、ダイコンとは別の仲間(別な属になります)です。また、この美しさからもわかりますが園芸由来の外来種です。

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畑周辺には多いけど、原野や河川敷にそれほど逃げてはいないと思います。

ショカツサイはアブラナ科ショカツサイ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、北海道~琉球までの日本全国で増殖中のようです。

私が最初に見た(と思う)のは、東京都の街中の落葉広葉樹林内で、高木の葉が芽吹いていない時期に林床が紫色になるほど群生していました(多分持ち主の方が管理していたのだと思う)。あまりの美しさに、ここはヨーロッパの樹林かと当時思ったぐらいですが、実はショカツサイは中国原産の植物でした。なんで行ったこともないのに、ヨーロッパだと思ったんですかね~(笑)。ショカツサイは江戸時代に渡来したようですが、一般的に広まったのは1939年に黒田振一郎さん達が南京の紫金山より持参した種子をシキンソウと名付けて広めたのがきっかけとのことです(日本の外来植物 平凡社参照)。

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田舎の畑や果樹園が似合う園芸植物ですね。この適当感が和みます。

園芸由来の外来種の中では比較的昔に渡来しただけあって、きれいだけれどもどことなく田舎くささを感じてしまうのは私だけでしょうか。外来種ではありますが、広々とした田舎の畑や果樹園で出会うと心が和む花ですね~。

ショカツサイの特徴は次の2点です。

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①葉:葉は互生(ごせい:葉が交互に着く)します。形状はダイコンに似ていて(ダイコンほど大きくない)、基部のものは羽状に深裂しますが、上に行くほど切れ込み少なくなり、上部のものは切れ込みが無く鋸歯縁となります。葉柄は殆ど無く、茎を抱く感じになります。

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②花:アブラナ科なので花弁は4枚で、鮮やかな紫色になります。ダイコンの花も紫色を帯びますが、比べ物にならないくらい鮮やかな色彩です。花も大きく直径は3cm程度になります。

花が咲けば似ている植物は無いので、すぐにわかります。