身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

簡単に見分けられるシダ-305.マメヅタ-

マメヅタとは素晴らしい名前です。まさに名は体を表すです。

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愛知県設楽町にて(11月14日)。道路脇のコンクリート壁一面に粒々がついている。

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三重県尾鷲市にて(10月31日)。こちらは樹皮についている。以下、撮影日・撮影場所同じです。

谷沿いの湿った薄暗い林道を歩いていて、緑色の丸い物体が密集している樹木やコンクリート壁を見たことありませんか?小さいものが密集していると、あんまりじっくり見たくないと思うかもしれませんが、足を止めて是非観察してみて下さい(笑)。

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近づくと粒々は葉で、葉の間には隙間があり、茎のようなものが伸びている。

丸い物体はちゃんとした植物で、しかもつるのように茎が這っています。豆のような葉をつける、つる状の植物ということでマメヅタという名前になったようですね。しかもこんな形をしていてシダ植物というのですから驚きですね。

マメヅタはウラボシ科マメヅタ属の常緑の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、宮城県以南の本州・四国・九州・琉球に分布します。暖温帯の谷沿いの常緑樹林内や林縁に生育します。

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細長い葉と丸い葉の2種類の形が混生している。これは違う植物かな~?

よく見ると豆のような葉の中に細長い葉がついているのがわかります。別な植物が混ざっているようにも見えますが、同じ植物です。細長い葉は胞子をつける葉(胞子葉)で、裏面に線のような胞子のうがついているの見えます。一方、たくさんの豆のような葉は胞子をつけない葉(栄養葉)で、シダ植物の中には胞子をつける葉とつけない葉で形状が大きく異なることがよくあります。

マメヅタは1回見れば忘れることはないですね。特徴は次の2点です。

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①全体容姿:根茎(こんけい)は岩上や樹上を這いまわり、円形の葉を多数つけながら長く伸びます。

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②葉:栄養葉(えいようよう:胞子をつけない葉)は円形~楕円形で長さは1~2cm程度で、胞子葉(ほうしよう:胞子をつける葉)は柄があり、倒卵形(とうらんけい:葉の上方が幅広くなり、卵形を反対にしたような形)~倒披針形(とうひしんけい:葉の上方が幅広な、かなり細長い卵形を反対にしたような形)で長さは2~4cm程度です。葉は全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)で表面に光沢があります。

似たような植物はありませんが、琉球のものは全体的に葉が長くなる傾向にあるようで、変種のリュウキュウマメヅタとして分けることもあるようです。