身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

河川水辺の国勢調査リストの改訂

植物相調査(ある地域に生育する確認できた植物をリストアップする調査)を実施した際は、成果品として確認種一覧表ができあがります。この確認種一覧表には植物種の和名や学名といった情報が並びます。そして、この和名や学名は何らかの文献に準拠しています。和名や学名の準拠文献としてはいくつか候補はありますが、職業柄ということが大きな理由で、私は河川水辺の国勢調査リスト(以下、リストはこれを指しています)を使用しています。

このリストは国土交通省が作成している(国土交通省河川水辺の国勢調査ホームページ)もので誰でも自由に使用でき(著作権法上問題ない限り)、簡単に使用できる形になっています(植物だけでなく、様々な生物のリストが整備されています)。私のように環境調査業務を生業としている場合、クライアントの大半はお役所なので、お役所の作成したこのリストは非常に使い勝手がよいです。一方、このリストは名前が示すように国土交通省が行っている「河川水辺の国勢調査」という調査で記録された植物がベースになっているので、河川水辺やその周辺の野山に生育している植物を掲載したリストとなっています。そのため、日本全国の植物が記載されているわけではなく、当然高山植物などは掲載されていません。そういった少し変わったリストであるため、学術論文等に使用される和名や学名が、このリストに準拠することは殆ど無いと思います。そういう意味ではこのリストは環境調査用に公表されているリストと言ってよいでしょう。

リストは環境調査関係では非常に便利な上に、なんと毎年1回最新のものに更新されます!植物の和名や学名(特に学名)は、分類学の研究が進むことによって、多少変わったりすることがあるので、そのあたりを反映させようという趣旨のようですね。特に今年の植物リストはこれまでの旧分類体系から最新のAPGⅢという分類体系に変わったようで、大規模なリストの改訂がありました(科名が大幅に変わった)。このような最新の情報を取り込んでいく姿勢は素晴らしいですね。「本来ならこのような植物を含めた生物目録の作成は環境省がやるべきものでは?」と思ってしまうのですが、予算の少ない環境省では厳しいのですかね~。毎年リストを更新するという大技を繰り出せるのは、予算の多い国土交通省ならではといったところでしょうか。

ただ、このリスト1点だけ腹の立つことがあります。それは、改訂版の公開が年末~年度末に毎年行われること!!

お役所がクライアントということは、私の仕事の大半は年度区切りで動いています。例えば、今年度の仕事であれば、前年度のリストに準拠して作業を進めているわけです。今年度の年末や年度末になれば、当然、データ整理はほぼ終わりに近づき、中には既に終わったものもあります。そんな状態の時に、「今年度の新しいリストが出たよ~」なんてなったら、そりゃ当然「新しいリストに準拠してほしいな~」と言われるに決まっています。忙しい年末~年度末にチマチマとした自宅のデータベース整備をしなければならず、本当にイラッとします。年末~年度末の公開なんて、本当に嫌がらせとしか思えないですね。