ナデシコ科の識別ポイント
植物の種名がパっとわかればよいですが、わからない時も多々あります。そんな時、その植物が「○○科だな」とわかれば、調べるのもそれほど時間がかかりません。植物をよく知っている人は、この「○○科」というグループの特徴を頭にたたきこんでいることが多いです。初心者の方は、やみくもにたくさんの種名を覚えるよりも、科の特徴を先に覚えておいたほうがよいかもしれません。
春に覚えておくとよい科の一つにはナデシコ科があげられます。
ナデシコは秋の七草にも数えられる美しい草ですね。そのため秋の植物という印象を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、ナデシコ科の植物は秋に咲くものは少ないです。実際は春の七草のハコベや、春の水田を彩るミミナグサやノミノフスマ、夏の高山に咲くイワツメクサやクモマミミナグサなど、春から夏にかけて咲く種類が多く、写真のエゾカワラナデシコも7月頃から咲いています。
ナデシコ科は種類の多い科で、世界中に3000種以上があるようです。日本だけでも12属70種程度が分布しています(改訂新版日本の野生植物4より引用)。ナデシコ科は人との関わりも深く、美人を大和撫子と称したり、母の日にカーネーション(カーネーションはナデシコ科)をあげたり、春の七草でハコベを食べたり・・・。
親近感を持ったところで、ナデシコ科の特徴をみてみましょう!ポイントは3点かな。
●花の色と咲く時期
ナデシコ科全体で見れば、早春から初秋まで、様々な種類が花をつけます。白い花をつける種類が圧倒的に多いですが、夏以降はピンク色やオレンジ色系統のものが咲き始める感じです。春から夏に咲く花が多いですが、夏に咲く花は秋まで咲き残っている時もあります。
●花弁の数
花弁の数は5枚が多いです。4枚という種類もありますが、少数派。また、この仲間は花弁が大きく2つに裂けたり、細かく裂けたりと、花弁の形は様々です。2つに裂けてV字になる花弁をつける花だと遠目には10枚の花弁のように見えるので、注意が必要です。
●葉
葉の形は糸状のものから円形のものまであり、中には多肉質っぽいものもあり、種類によって様々です。でも、葉は対生か輪生し、鋸歯の無いものが殆どです。
ナデシコ科の仲間は一見すると同じ仲間とは思えないものもありますが、慣れればなんとなく同じ仲間じゃないかな~とわかるようになります。花は小さいものが多い傾向にあるので、花が咲いていれば比較的わかりやすいと思います。