青森県で出会った植物-64.オオヤマフスマ-
ナデシコ科の植物の中でも、かなり目立たないオオヤマフスマです。
ナデシコ科の白い花をつける植物は、たいてい花の大きさが1cm前後かそれ以下で目立ちません。それでも、白い花をつけるナデシコ科の多くの仲間が株状になるので、それなりに存在感があります。ハコベなんかも花は地味ですが、株になって葉も多くつけるので、存在感がありますよね。ところが、オオヤマフスマは殆ど株にならず、1~数本の茎が立ち上がるぐらいで、高さもせいぜい10数センチです。「そんなの見つかる?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、こんなひ弱な植物のため、シバ草地や植被がややまばらな低茎の草地にはえることが多いです。しかも、環境がよければわりと多くの個体が生育するので、意外とみつかるものです。
オオヤマフスマの特徴は次の3点です。
①生え方:まとまった株にならず、茎は1~数本程度が多いです。
②葉:葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)し、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)、葉の3脈が目立ちます。オオヤマフスマのように葉の付け根から目立つ3脈が出るような葉脈を3行脈(さんこうみゃく)と呼びます。
③花:ノミノツヅリの花を大きくしたような雰囲気です。
似たような植物にはノミノツヅリがあげられますが、ノミノツヅリは花も葉もひとまわり小さいです(オオヤマフスマは花も葉も1cm前後、ノミノツヅリは花も葉も5mm前後)。あと、同じ属のタチハコベという種もありますが、これは割と珍しい種類なので、そう出会うことはないと思います。
北海道平取町(6月8日)にて。私が見たのも、この場所1回限りです。
タチハコベは萼片が花弁よりも長く、萼片の先が尖るので、出会ってもオオヤマフスマと間違えることはないと思います。