シカが嫌いな植物-254.マツカゼソウ-
せっかくなのでもう1種類シカが嫌いな植物を紹介します。マツカゼソウです。
神奈川県南足柄市にて(8月28日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
夏の終わりから秋にかけて咲く涼しげな花。
マツカゼソウもニホンジカの多い地域に行くと、かなりまとまって生育している印象を受けます。丹沢ではすごく多いという雰囲気ではありませんでしたが、伊豆(だったかな~)ではかなり目立っていたような気がします。
マツカゼソウはミカン科マツカゼソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州(宮城以南)~九州の山地に分布します。谷沿いの斜面など、やや湿った環境に多く、樹林内や林縁に生育します。
さて、ニホンジカはどうしてマツカゼソウが嫌いなのでしょう?それについては本人に聞かないとわかりませんが、マツカゼソウは独特の香りをもっています。人間でもその香りが好きか嫌いかは判断がわかれるところでしょう。ニホンジカが嫌いな植物としては、他にエゴマやシソのような香りの強い植物があり、香りが敬遠する理由の一つになっているのかもしれません。
マツカゼソウは漢字で書くと松風草。なかなか風流な名前がついています。個人的にはグラデーションを伴った細かい葉と白い小さな多数の花が、風流な雰囲気をかもしだしているな~と思います。
マツカゼソウの特徴は次の3点です。
①葉の形とつき方:1cm程度の楕円形の小葉(しょうよう:1枚の葉が分裂してできた個々の葉のこと)を多数つけた15cm前後の複葉(ふくよう:2個以上の部分に完全に分裂した葉)を互生(ごせい:葉が交互に着く)します。マツカゼソウの葉は専門用語では3回3出羽状複葉と呼ばれます。
②葉の色:若葉は鮮やかな黄緑色で、古い葉ほど白っぽい緑色になります。比較的若い葉では同じ葉の中でも内側の方が黄緑色になります。この色合いは大きな特徴と言えると思います。
③花:4枚の白い花弁からなる直径5mm程度の小さな花を円錐状の花序に多数つけます。
マツカゼソウに似た植物はあまりないです。花が無くても、葉の特徴だけでわかると思います。