北海道で出会った植物-201.ノウゴウイチゴ-
先日北海道に出かけたので、その際に出会った植物をいくつか紹介します。まずは市販のイチゴと見誤りそうな、ノウゴウイチゴです。
北海道ニセコ町にて(7月21日)。ひいて撮ると小さい雰囲気が出ます。
何も言わずに掲載すれば、ごく普通のイチゴみたいですよね。これが林道上や崩壊気味の斜面に群生しているのですから、ちょっとしたイチゴ狩り気分です。ところがこのイチゴ、だいたい親指の爪くらいの大きさです(スケールを一緒に入れなかったのが失敗です)。味のほうも、ちょっと残念なもので、甘みと酸味のうすい気の抜けたイチゴといった感じです。なので、動物達にとっておいてあげましょう。
北海道ニセコ町にて(6月12日)。花も市販のイチゴみたいです。
花も市販のイチゴと殆ど変わらず、白い花で、果実同様少し小さめです。
ノウゴウイチゴはバラ科オランダイチゴ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、市販のイチゴと同じ属です。ちなみに市販のイチゴはオランダイチゴと言い、雑種起源の植物で様々な品種があります。ノウゴウイチゴは北海道・本州の日本海側に分布し、草地に生育します。私の住む岐阜県にも、飛騨地方の北部などでは見ることができます。
ノウゴウイチゴの特徴は次の3点です。
①全体の容姿:イチゴの苗を思い浮かべて下さい。草丈は20cm以下で、匍匐枝(ほふくし:地面を横に這うような茎。節から根が出る)を伸ばし、新しい苗をつくります。
②葉:葉は1回3出複葉(いっかい3しゅつふくよう:3枚の小葉からなります)で、そろった鋸歯があります。葉の表面はつやのない緑色でほぼ無毛、裏面は長い毛が密生し白くなります。
③花と実:花弁は7-8枚で白色。実は市販のイチゴとほぼ同じです。
似たような植物としては同じ属のシロバナノヘビイチゴやエゾノヘビイチゴ、市販のイチゴがありますが、いずれも花弁は5-6枚という点が異なります。