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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

丹沢で出会った植物-155.フジアザミ-

登山道を登っているとガレ場で大きな花のアザミに出会います。それがフジアザミです。

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神奈川県清川村にて(9月16日)。秋の登山道では圧倒的な存在感。
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崩壊地の植生の様子。破線部分は特にフジアザミが多い。矢印がフジアザミ。

フジアザミはガレ場や崩壊地などに多く出現し、その特徴的な容姿は、双眼鏡で見てもわかります。また、フジアザミは糸魚川-静岡構造線の南側半分、フォッサ・マグナ地区と呼ばれる富士・箱根・伊豆・八ヶ岳周辺の地域を代表する植物の一つでもあります。分布や容姿とも特徴的な種なので、覚えておきたい植物の一つです。

フジアザミはキク科アザミ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北関東・中部地方に生育します。私の住む岐阜県でも飛騨地方には分布があります。「あれっ?フォッサ・マグナ地区を代表するというわりには岐阜県にも分布があるじゃん?」最初、フジアザミを岐阜県で見た時には、少し不思議に思いました。こんな植物、誰も植えないだろうし・・・。ミュージアムブックレット フォッサ・マグナ要素の植物」(神奈川県立生命の星・地球博物館という博物館発行の書籍によれば、フジアザミはフォッサ・マグナ地区で分化した植物で、現在分布を拡大させていると書いてありました。ということは、岐阜県は分布拡大の西端付近ということになるんですね。アザミの種子はタンポポのような毛がついているので、風で移動します。この先、さらに西側にも分布をひろげていくのかな~。

フジアザミの特徴は次の2点です。
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①葉:トゲのある大きな葉を根元に多数つけます。葉には白色の長い毛があるため、白っぽく見えます。
②花:花は大きく直径810cm程度になり、下向きに咲きます。萼のように見える総苞片は幅広く、トゲがあり、開出し、赤紫色になります


アザミの仲間は分類が難しいですが、フォッサ・マグナ地区周辺に分布し、これだけ巨大な花をつけるアザミはフジアザミ以外ありません。