丹沢で出会った植物-151.クワガタソウ-
夏休みといえばカブトムシ、クワガタムシとり!ということで、夏休みにちなんでクワガタソウを紹介します。
神奈川県山北町にて(7月12日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。
果実期。果実の形を兜に、中央の萼片を鍬形にみたてた。
クワガタソウという名前は、クワガタムシではなく、兜の正面の飾りの鍬形に由来するようです。果実全体の形は5月の節句に飾るような兜の形をしていて、萼片が鍬形のように見えるところからきているのでしょう。ただ、萼片の形は節句に飾る兜の鍬形(兜の正面につく金色のやつ)よりかはかなり地味ですね。これならカブトソウでもよかったのでは・・・と思うのは私だけでしょうか。
クワガタソウはゴマノハグサ科クワガタソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、東北地方南部~紀伊半島の落葉広葉樹林に生育します。最新の分類体系(APGIII)ではオオバコ科になるようです。
図鑑では草丈が10~20cmとありますが、丹沢で出会ったものは10cm以下の小型のものが多い印象を受けました。これもニホンジカの食害と関係あるのでしょうかネ?花も白っぽくて小さいので、かなり注意して見ないと見落としてしまいそうです。
クワガタソウの特徴は次の4点です。
①:草丈と生え方:草丈は20cm以下。1本立ちか、数本からなる株立ち。
②:葉と茎:鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)のある葉を対生(たいせい:葉が対になって着く)します。茎には上向きの短毛を密生します。
④果実:果実の形は兜のように三角状扇形。類似種のヤマクワガタ等(こちらは果実がひし形)とは、果実の形で区別できるとありますが、かなり見慣れないと、この違いは識別しづらいです。
似たような植物としては、ヤマクワガタ、サンインクワガタがあります。いずれも、短い地下茎を出してやや群生し、果実の形がひし形となります。