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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

丹沢で出会った植物-148.フジイバラ-


3年間丹沢に登ったので、丹沢で出会った植物の写真がたまってきました。一挙にそれらを紹介したいと思います。丹沢は都心からも近い山なので、夏休みには多くの方が登ることと思います。登山者の花調べの参考になればさいわいです(それにはたくさんアップしないと・・・)。まずはフジイバラです。

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神奈川県清川村にて(7月14日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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花は小さめで直径2-3cm。少数花からなる花序を枝先につけます。

花の形や刺のある植物体を見れば、誰でもバラの仲間だということはわかりますネ。バラは園芸の分野でも多くの品種があり、きれいなだけでなく奥の深い植物です。野生のバラも同じで、分類が難しく、自然に雑種ができたりもします。そんな分類の難しいグループですが、丹沢の標高の高い稜線上で出会うバラはフジイバラと思って間違いないです。

フジイバラはバラ科バラ属の落葉低木(らくようていぼく:冬に葉を落とす、4m程度以下の木本)で本州(関東~中部・奈良県)四国(中央山地)に分布し、特に富士・箱根・丹沢一帯に多いようです。ブナ林が成立するような冷温帯の林縁や草地、疎林に生育します。

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こんな感じで、草地や林縁、疎林に多数点在します。

丹沢はもともと生育量が多いようですが、シカもそれほど積極的に食べないせいか、比較的残っていることが多いです。登山道を歩いていると普通に見ることができるのでありがたみがないのですが、日本全国という視野で見ると、どこでも簡単に見られるという植物ではないようです(私もまだ丹沢でしか見たことがありません)。是非、皆さん、じっくりと見てあげて下さい!

フジイバラの特徴は次の3点です。
①生育環境:ブナ林が成立するような標高1000m程度より上部の草地・林縁・疎林に生育します。
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②樹形:1
3m程度の低木状。つるバラのように枝が這ったり他の植物によりかかって長く伸びたりはしません。
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③葉:奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう:写真参照)互生(ごせい:葉が交互に着く)。葉は無毛。小葉(しょうよう:写真参照)7
9枚で、頂小葉(ちょうしょうよう:小葉のうち一番先端の小葉)は隣接する小葉と大きさ、形にあまり違いがありません。托葉(たくよう:葉の付け根付近にある葉のようなもの)には先が球になる毛が散生します。

バラの仲間は皆似ていますが、花の咲くような個体の葉があれば、なんとかお互い識別できるかと思います。フジイバラに特に似ているのはアズマイバラでしょうか。アズマイバラは頂小葉が細長く、小葉の枚数が57枚と少ない点で異なります。