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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

梅雨に似合う花-142.ヤマアジサイ-

河川堤防の植物は小休止して、梅雨の時期にピッタリの植物を紹介したいと思います。筆が遅いので、梅雨が明ける前にどれだけ紹介できるか微妙ですが、梅雨の代表選手といえばアジサイでしょう。薄暗い梅雨時の山や林縁にひっそりと咲くのがヤマアジサイです。

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群馬県長野原町にて(6月22日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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花の集まり(花序)の直径は10cm程度。小ぶりな花序が上品で特徴的。

海岸沿いに生育するガクアジサイ系統の品種のアジサイに比べると、花全体が小ぶりです。日陰でひっそりと咲くところが、上品で質素な感じがして、私は好きです。
ヤマアジサイユキノシタアジサイ属とされていましたが、最新のAPG分類体系では、アジサイアジサイ属になります。落葉低木(らくようていぼく:冬に葉が枯れる低木)で、背丈は12mで、人の背丈よりも小さいことが多いです。本州(福島県以南の太平洋側)、四国、九州の沢沿いの樹林や林縁に生育します。
アジサイと言えば、花の咲き始めと咲き終わりで色あいが変わることが知られていますが、ヤマアジサイは白色のため、色彩の変化は殆どないです。また、狭い地域内では、いろんな色の個体が混生することもあまりないと思います。

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天気の悪い日だと、まわりが暗くなるため相対的にこの白色が目に飛び込んできます。

花の色彩が白だけだと目立たたない印象を受けますが、梅雨時の緑の濃い薄暗い林内では、意外にもこの白色は目に飛び込んできます。写真にするとその感覚がないのですが、肉眼で見れば明らかです。ひょっとしたら、薄暗い梅雨の林内で虫たちにアピールするには、白色がよいのかもしれません。

ヤマアジサイの特徴は次の2点です。
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①葉:葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)。葉の形状は楕円形で鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があり、光沢は少なく、裏面には毛があります。葉の形だけでも慣れればヤマアジサイの仲間ということはわかります。
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②花:普通の花と装飾花(そうしょくか)があり、装飾花の萼片は4枚で白色。


ヤマアジサイにはエゾアジサイ、アマチャ等の様々な変種や品種がありますが、装飾花の色彩や形状で識別すことが多いため、花がないと多くは識別ができません。花のない小型の個体はシソ科のテンニンソウやミカエリソウ(いずれも茎は四角形)と似ていますが、ヤマアジサイは茎が四角にならず、根元が木のようになる点で区別できます。