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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

河川堤防の植物-141.ノアザミ-

黄色の花が続いたので、ピンク色の花のノアザミを紹介します。

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三重県多気町にて(5月13日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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ノアザミは変異の大きな植物。茎の毛や色は様々。これは茎が多毛・緑色のタイプ。

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こちらは茎が多毛、紫色のタイプ。

ノアザミは春の堤防を彩る植物としては欠かせません。春は黄色い花の植物が多く、それはそれできれいなのですが、黄色の花だけだとちょっと物足りない感じになります。黄色の花の中に、このノアザミが混じれば、バランスがよくなるような気がします。

ノアザミはキク科アザミ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~九州の草地に生育します。アザミの仲間は種類が多く同定が難しいものが多いですが、このノアザミだけはすぐに覚えられます。アザミの殆どが夏から秋にかけて咲くのに対し、このノアザミだけは春から初夏に開花します。ですから、春先に堤防で咲いているアザミがあったら、間違いなくノアザミといってよいです。

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葉の先に5mm前後の鋭い刺があります。これに刺さると結構痛い。

このきれいなノアザミ、「きれいな花には刺がある」の名のとおり、葉には鋭いとげがあります。堤防を調査していると、この刺が服の上から刺さるんですよね・・・。作業着には夏用、冬用とありますよね。春~夏(初秋まで)は暑いので当然夏用を着たいところですが、夏用の生地の薄いズボンだと、ノアザミの刺はブスブスと刺さります。そんなわけで、植物屋さんの人はズボンだけは冬用(厚手)という人が結構います。当然、私もズボンは冬用で、調査には冬用作業着をお勧めします。

ノアザミの特徴は次の3点です。
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①根生葉の有無:茎の根元に付く葉を根生葉(こんせいよう)と言います。ノアザミは花の時期に根生葉があります。 
②総苞:アザミの花の基部の緑色の部分を総苞(そうほう:キク科植物の花の基部の鱗状の苞が集まった部分。普通の花の萼のように見える部分)と言います。この総苞の鱗状の苞が細く、さわるとベタベタします。
③花の時期:春から初夏にかけて咲きます。

花の咲く時期より、似た植物はありません。ただし、花の咲き始めや咲く直前に草刈が行われたりすると、その後花茎を伸ばして夏ごろに咲く時もあります。さらに、頻繁に草刈が行われると秋に咲いてしまうこともたまにあります。頻繁に草刈が行われる場所では、開花時期にずれが生じるので注意が必要です。