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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

初夏と言えばスゲでしょ!-52.ナルコスゲ-

今年の暑い初夏にぴったりな、涼やかなスゲを紹介します。ナルコスゲです。

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水際に生育することが多いです(愛知県.5月)
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増水すると水没するようなところに生育します(愛知県.5月)

ナルコスゲは水しぶきがかかるような渓流の岸辺に生育するスゲです。渓谷の新緑やきれいな水を背景に涼しく観察できるので、私が好きなスゲの一つです。ナルコスゲの名前の由来は、このスゲの垂れた穂が「鳴子」に似ているからだそうです。「鳴子」とは、時代劇のくせものが夜中、縄に足をひっかけると“カラン、カラン”となるあれのことでしょう。
ナルコスゲはスゲ属クロボスゲ節の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道~九州に分布します。

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株状に生育します(岩手県.6月)
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株状に生育するから地下茎がないと思いきや、地下茎があります!
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ナルコスゲの特徴は次の4点です。用語は導入編を参照して下さい。
①生え方と生育環境:株状に生え群生します(株状に生えますが地下茎もあります)。渓流の岸辺に生育します。
雌小穂の付き方:雌小穂は垂れ気味です。
果胞雌鱗片果胞は狭卵形で細長く、雌鱗片は褐色を帯び果胞よりもかなり短いです。
④葉:葉の幅は3mm前後と細い。
 
ナルコスゲは渓流畔といった環境と、鳴子のように垂れ下がった穂を見れば、まず間違いはないと思います。ナルコスゲが属するクロボスゲ節のスゲは高山や北方に分布するものが多いため、温帯の渓流であれば似たようなスゲはありません。北海道なんかであれば、ちょっと似たヒラギシスゲなんかが出てくるかもしれません。