こんなところに…-330.ニラ-
自宅敷地の片隅にきれいな花が群生していました。いつの間に、こんな植物が!!何の花かわかりますか?
岐阜県関市にて(9月12日)。今回の話題の花は小さな白い花です。以下、産地は同じ。
敷地と道路の境界付近に群生していました。表層の土は砂礫です(8月30日)。
答えがタイトルに書いてあるので全くクイズにはなりませんが、野菜のニラです。ニラは自宅駐車スペースと道路の境界付近に生育していました。畑のような良い土ではありませんが、たくましく花を咲かせていました。
1個の花は小さいけど清楚。あの強烈な味からは想像できないでしょ😁(8月30日)
しかも割ときれいな花なんですよね。なんでそんなところにニラがあるかって?あまり記憶が定かではないのですが、数年前にプランターかなんかでニラを栽培したような気がします。その際に収穫しなかったものに実がつき、種子がこぼれたのだと思います。ニラを八百屋やスーパーでしか見たことのない方は、「へ~花が咲くんだ~😮」と思うかもしれませんが、ちゃんと野菜も花が咲くのです。レタスやキャベツも花が咲きますよ~😁。
逸出が多いので、自生地があった場合どうやって「自生」と判断するのだろう…。
ニラはヒガンバナ科(旧分類体系ではユリ科とされていました)ネギ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、パキスタン、インド、中国に分布し、日本にも分布するという話もあります。日本自生説が本当かどうかはわかりませんが(自生の個体群があるなら見てみたい)、基本的には栽培品の逸出したものと考えてよいと思います。
ニラはかなり丈夫な植物で、種子の他に根茎でも増殖します。うちの駐車スペースのような劣悪な環境でも全然平気で、年々増えています(もっと摘んで食べればよいのですが…まとまっていないので収穫が面倒)。競合する植物が少ない、明るく適当な水分環境下であれば生育できます。そのため、畑近くの路傍では結構見かけます。
ニラの特徴は次の3点です。
①葉:葉は扁平で裏側にうっすらと中央脈があり、葉の基部では扁平な三角形状になり、裏側に厚みがあります。ただ、先端を見る限りでは殆ど表と裏の違いが殆どありません。購入したニラと形状的には違いは無く(当然ですが)、ニラの臭いもします。
②花序:夏から秋にかけて茎の先端に半球形~球形の花序(かじょ:花の集合)をつけます。咲き始めは傘を逆さにした感じですが、実になる頃は球状に近くなります。
③花:花びら(花被片)は白色で、先端はとがります。
最もよく見かける類似種としてはノビルがありますが、ノビルは春に花が咲き、真夏には枯れて地上部がありません。
ノビル。花の咲く時期が違いますが、花も似ていません。岐阜県関市(5月17日)。
その他のこの仲間で頻繁に見る種類はありませんが、アサツキ、エゾネギなんかは紫色の花が咲くので間違えることはないと思います。
秋らしくなってきたかな-329.ゴマナ-
先週までは熱中症になるくらい暑かったですが、最近は日中耐えられる暑さになってきました。この日は少し標高の高い場所に行ったため、下界よりも秋らしい雰囲気になっており、ゴマナが満開の時期を迎えていました。
岐阜県高山市にて(9月2日)。以下、産地記載ないものは撮影場所・撮影日同じです。白い花が皆ゴマナです。
写真から大きさは伝わりませんが、これで1.3mぐらいの個体です。
ゴマナは野菊の仲間で、腰丈よりも大きくなる植物です。花をたくさんつけますが、花の大きさはノコンギクやシロヨメナよりもひとまわり小さいです。一言で言えば、小さな花をたくさんつける大きな菊…。
これは比較的咲き始めで、花の数が少ない。全部開けばもっと花だらけになる。
なかなかこのような菊は上手に撮影できませんね。たくさん花をつけるということは、それだけ開花している期間が長くなり、花序に咲き始めのものから終わりかけのものまであり、きれいな花だけをたくさんつけている状態を探すのが大変です。また、近づいて撮影すると全体の雰囲気が伝わらず、離れて撮影すると花の形がよくわからないといった感じになります…。図鑑のようなきれいな写真を撮影するのは本当に難しいですね。
ちょっと画質が悪いけどこれは見事!富山県南砺市にて(9月28日)。
ゴマナはキク科シオン属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道・本州の山地に分布します。草原や明るい林縁に生育することが多く、群生することもあるので、比較的よく目にする植物だと思います。名前の由来は葉がゴマの葉に似ているからという話もありますが、ゴマ(ゴマ科)は科が違うので、葉の形はゴマナとゴマは似ていないと思います。ゴマナの葉はゴマの香りもしないので、名前の由来はよくわからないというのが正しいような気がします。
ゴマナの特徴は次の3点です。
①茎:標準的なものは1-1.5mぐらいで、野菊の仲間では大型です。茎には短毛があります。
②葉:葉は互生(ごせい:交互に葉がつく)します。葉の形はひし形に近い長楕円形で、先端、基部ともにとがり気味で、明瞭な鋸歯(きょし:葉の縁のぎざぎざ)があります。側脈は羽状で、表面、裏面共に短毛があります。ノコンギクやシロヨメナに比べると葉が大きく、側脈の入り方が少し異なります。
③花:花びらのように見える舌状花は白色で、中央の筒状花は黄色です。花の直径は1cm前後です。
類似種としては舌状花が白いシロヨメナがあげられます。シロヨメナは変異が大きく、中には非常に葉の幅が広くなるものもあり(タマバシロヨメナ等)、そのようなものはゴマナに似てきます。ただ、葉の形や葉脈の入り方が、シロヨメナ類とゴマナは異なるので、慣れれば間違うことはないと思います。
北海道ニセコ町にて(9月13日)。北海道にも小型の個体はあるし、大きさで分けるには無理がありますね。見た感じも全く違いは無いと思います。
古い図鑑では北海道のものは大型で多毛ということでエゾゴマナという変種に分けていますが、本州にも大型のものはあり、毛の量は連続的で区別できないと思います。なので、私は「日本の野菊」(いがりまさし著.山と渓谷社)の見解に賛成で、ゴマナとエゾゴマナは区別していません。
バジル収穫(2020.9.5)&ぶどう収穫(2020.8.30)
日中は暑いですが朝夕は涼しくなってきました。ちょっと秋らしくなりましたね。
畑のミニトマトは終わりかな。1年間枯れずに生存したのは久々です。
ここにきてバジルがすごく元気になってきました😮。少し前に切り戻したのがよかったのでしょうか。
この日の畑の収穫はこんな感じ。畑のバジルはこの年一番の収穫となりました。ナスとピーマンはおじいさんの畑からいただきました。ナスがちょうどいい感じですが、子供があまり食べないので、こんなにもらったけどどうしようかな…。
差し芽をしたミニトマトが赤くなってきました😆。畑の個体はこれ以上赤くならなかったのですが、もう少し赤くなるといいな~。明日変わらなければ収穫かな。
植木鉢のバジルも大きくなったので合わせて収穫したら、こんなに大量に収穫できました😆!!今年3回目のバジルペーストを作ります!!今回は大量にできそうですが、かなり作業が大変そう…。
実際かなり時間がかかりましたが、こんなにたくさんできました😋!一部は冷凍保存してみます。
1週間前ですが、残りのぶどうを全て収穫しました。今年は全体的にいまいちでした😥。粒が大きくなったものもあれば、あまり大きくならなかったものもありました。
あと袋掛けしたのに、皮に褐色のあざのようなものがついているのが多かったです。これは袋とすれて出来たのかな?見た目はいまいちでしたが、味はいつもどおり美味しかったです。種は多いけど…😅。
夏の作業着はどうしたものか…(その1)
お盆が明けてから中部地方近辺は連日猛暑日が続いています。先日訪れた現場では作業している場所の気温は40度越えで、地温はなんと50度!😱数日前はそこまで気温は高くなかったのですが、ひたすら笹薮の斜面を上り下りしていたら、午後から頻繁に足をつるようになってしまいました。軽い熱中症ですね…🥵外作業の皆様、本当に気をつけて下さい。
いつもは速乾性の半袖Tシャツに、薄手の夏用長袖作業着。多分このパターンの同業者が多いと思います。
夏場の作業で気温が高いのはどうしようもありませんが、なんとか快適に仕事をしたいものです。私は汗を多くかくほうだと思うのですが、毎日「服着て泳いだの?」と思うくらい作業着がビショビショになります。ひどい時は雨や水たまりが無いのに、長靴に水(汗)がたまります😱。このビショビショの作業着が、かえって熱中症になるんじゃないか…と思った時もあり、その時は作業着を脱いで久々(20代の若いころはたまにやっていた)に半袖で作業しました。ただ、その代償として、腕には草で切れた細かい傷がたくさんできました…。
今回購入した冷感コンプレッション。1枚千数百円。それほど高くはないです。
気温が下がらない以上、これは作業着を変えるしかないと最近思い立ち、ネットでいろいろ見ていると、最近はいろんな作業着がありますね~。まずはファン付きの空調服。先日、少し着させてもらったのですが、正直涼しいような、涼しくないような…。冷房の風が出てくるならよいですが、熱風だと微妙です😅。あと、森の中や草むらをリュックサック背負ってガシガシ歩くにはちょっと向いていない感じです。そこで白羽の矢をたてたのが、冷感コンプレッション。スポーツ選手が着るピチッとした長袖シャツです。そういえば最近、工事現場の人でこれだけ着て作業している人もいますし、冷感、UVカット、伸縮性、消臭と機能も様々。これなら少し快適かもと思い、購入してみました。
冷感とはあるが着てヒヤッと冷たく感じるわけではなかった。そりゃそうか😜
生地は思ったより薄く、体にピタッとします。これ1枚なら、いつもの作業着を着て作業するよりかは涼しいような気はします。ただ、生地が薄すぎて、これでノイバラとかにぶつかると服が切れてしまいそうな雰囲気ではあります。オギやススキの葉ならなんとか耐えられるか…🤔まあ、それほど高価な品ではなかったので、とりあえず次回の現場で使ってみます。
この組み合わせで調査している人には殆ど会ったことないな~。
コンプレッションだけだと、下着で調査するのかと思われそうなので😅、一応、コンプレッション+半袖作業着という形でいってみます!
鹿島の森-(石川県加賀市)-
「鹿島」と聞くと鹿島アントラーズの鹿島を思い浮かべてしまい、茨城県の森かと思ってしまいますが、今回訪れたのは石川県加賀市の「鹿島の森」です。石川県と福井県の県境付近にあり、石川県を流れる大聖寺川と福井県の北潟湖がつながる部分にある半島の先の森です。
手前の水面が大聖寺川。大聖寺川の船着き場からモコモコした森を撮影。
森の中央に鎮座するお社。森が非常に立派な割にはとても簡素…。
この森には鹿島神社が祭られていて(名前の由来は鹿島神社にあるんですね)、鎮守の森として大切に保護されてきたようです。数百年斧を入れたことが無いということです!😲これはきっと何か住んでますね…😁散策路を歩いて森の中に入ると、地面で一斉にカサカサと音が…😨
林内の水場にカニの大群が!結構すばしっこく、近づいて写真を撮ると逃げてしまう。
一瞬ゾワゾワッとするかもしれませんが、アカテガニです。海と森を生活の場としているようで、水辺で個体数が多いものの、結構森の奥にも生息していました。散策路を歩くときは注意が必要ですね。
タブノキの巨木。胸高直径はこれで約100cm、樹高は18mくらいかな。
森に入って次に目を奪われるのは立派な大木です。大木はタブノキ、ケヤキ、スダジイが殆どで、中には胸高直径で1mを超えるような大木もあります。この森は高木層でタブノキが優占することが多く、ヤブニッケイ、シロダモ、ヤブツバキが亜高木層や低木層に、草本層にヒメアオキ、ベニシダ、テイカカズラ等が多く、典型的な海辺の常緑広葉樹林と言えます。大木の多さからも立派な自然林と言え、森自体が天然記念物として指定されています。
中央の茶色っぽい色をした葉がスダジイ。大きさはわからないけど立派です。
これだけ立派な常緑広葉樹林は常緑広葉樹林の本場である本州の太平洋岸・四国・九州でもそれほど多くはないと思います。石川県を含む北陸地方というと雪の多い地方で寒いイメージがありますが、海沿いの平野部は気候的には暖温帯に属していて、常緑広葉樹林が本来の植生になるようです。実際に訪れた8月下旬は超暑くて、熱中症になりそうなくらいでした🥵。
こんなに鬱蒼とした森でも20m×20mの範囲に生育する植物は30種未満。
しかし冬になれば当然寒くなり、雪も降りますよね。今でこそ暖冬で雪はそれほど積もらないのかもしれませんが、金沢の雪の兼六園の写真はよく目にしますもんね。そのような冬場の寒さは、生育している植物にも影響を与えます。鹿島の森はこれだけ立派な常緑広葉樹林ですが、驚くほど植物の種類少なく、種組成は単調です。同じような常緑広葉樹林でも紀伊半島・四国・九州といった暖地のものに比べれば、生育する種数は半分以下かもしれません。特に低木類やシダ類は少ないような印象を受けました。
タブノキの足元にからまるツタウルシ。新鮮な組み合わせ。
鹿島の森は植物屋さんから見ると少し退屈な感じですが、植生屋さんの視点でみると面白い面もあります。例えば冷温帯に多いツタウルシがタブノキに絡んでいたり、ケヤキとタブノキの大木が混生していたり、常緑広葉樹林の歩道沿いにオオタチツボスミレ(多分)が生育していたり。いずれも太平洋側の常緑広葉樹林ではあまり目にすることのない組合せで面白いと思いました。
常緑広葉樹林内は日陰で少しは涼しいかと思いきや、この日は全く涼しくなかったです。花も少ない時期なので、この時期の訪問はあまりお勧めしません。訪れるなら春か秋がいいかな~。
ヤブラン。庭でもおなじみの植物ですね。これはベストシーズンでした。
カラタチバナ。花ではなく若い実です。正月の寄せ植えでたまに見ますね。
マルバノホロシ。ナス科のつる植物です。これは林内には無く林縁部に生育します。
タブノキ。1mぐらいの稚樹。直径1mになるには何年かかるのかな~。
ヒメアオキ?今回は調査で訪れた(正式な手続きとってます)のですが、昔の調査票ではヒメアオキとなっていました。1.7mぐらいまでは成長するものもあり、この写真だけ見ればどう見てもアオキ…。全体的には小型のものが多いですが、東北日本海側のブナ林で見たのに比べると明らかに大きかったです。私の住む岐阜県でも飛騨地方のものはヒメアオキで、美濃地方のものはアオキとされることが多いですが、両者は遺伝的には違いが無く、標本にすると区別できないということです(岐阜県植物誌)。アオキとヒメアオキは区別する必要がないのかもしれませんね。