身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

室堂平-天狗平-弥陀ヶ原(立山)

立山駅から室堂に向かうバスは途中、弥陀ヶ原、天狗平というバス停があり、弥陀ヶ原、天狗平周辺でも気軽に散策をすることができます。雄山登山の翌日、室堂平-天狗平-弥陀ヶ原と一周してきました。

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室堂平から天狗平までの往路は、室堂周辺で見た雪田植生、ハイマツ群落などがひろがります。この日の朝も霧の中でした・・・。夏場は朝から晴れる日は少ないんですかねー。

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天狗平から弥陀ヶ原までの往路は、樹林の中を通る登山道を歩きました。天狗平(2300m前後)よりも標高が下がると、まとまったハイマツ群落は少なくなり、ダケカンバ群落が出現します。このあたりも雪が多いため、ダケカンバは
高木にならず、這うようにグニャグニャの樹形になります。

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疎林すぎて、樹林のように見えません・・・。グーグルアースで見ると点として見えます。

さらに下って標高2200m付近になると、オオシラビソの疎林が出現します。標高の高い場所のオオシラビソ群落は、樹高が3-4m程度と低いですが、標高の下がった立山荘(弥陀ヶ原のバス停付近)の背後の斜面では樹高17-18m程度(目測なのでだいぶ違うかも)の立派なオオシラビソ群落が成立します。

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立山荘の背後の斜面の群落の様子。かなりの面積があります。

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弥陀ヶ原バス停から展望台に向かう遊歩道沿いの樹林。群落の様子が観察できます。

この立派な樹林は植物群落保護林として保護されているようです。保護林の解説板にもありましたが、豪雪地帯に亜高山帯の針葉樹林が成立するのは稀なようで、分布が局所的なようです。どうしてこの場所にだけまとまった樹林が成立したのか、不思議です。

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弥陀ヶ原、天狗平周辺の湿地は気持ちいい木道が整備されていています。

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小さな池が点々とあるのが弥陀ヶ原~天狗平の湿地の特徴。

陀ヶ原から天狗平の復路は湿地を通るルートです。この区間の湿地は、室堂周辺の湿地と少し雰囲気が異なります。景観的には、池塘(ちとう:泥炭層にできる小さな池沼)が点在する点が異なります。弥陀ヶ原ではこの池塘を「がき田」と呼び、死者の霊が飢えをしのぐためにつくったと言われているようです。さすが霊山、ちょっとホラーですね

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池塘に生えていたのはヒメホタルイ。死者の霊が一生懸命植えたのかな・・・

よく見ると生えている植物も少し異なり、ヌマガヤや丈の低いチシマザサが優占し、室堂付近では見なかったモウセンゴケ、キンコウカ、イワショウブ、イヌノハナヒゲ類が目に付きます。泥炭層が形成されているようで、貧栄養の中間―高層湿原のような感じです。室堂とは標高差で数百mしかないのに、タイプの異なる湿原が成立するのは面白いですね。室堂周辺の湿地と弥陀ヶ原周辺の湿地の境界は、天狗平あたりのような感じでした。

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室堂の北側の地獄谷。弥陀ヶ原周辺の火山は、今も活発に活動中。

この湿原の違いは火山が関係しているのかな?と思いました。立山剱岳などの高い山は火山ではなく、弥陀ヶ原周辺のみが火山で、現在も活発に活動しているようです(一部立ち入りが閉鎖されていました)。火山というと山の噴火口を思い浮かべますが、谷から煙を噴出すこともあるのですね。こうした弥陀ヶ原周辺の火山堆積物が、湿地植生の違いとなってあらわれているのではと思いました。ビジターセンターに行けば、湿原の由来等の解説があると思うのですが、時間が無く立ち寄ることができませんでした。これは、個人的な推測なので、鵜呑みにしないでくださいね

この日出あった植物達。
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キヌガサソウ。初めて見ました!既に実になっていたので、花の時期に見てみたい!

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ベニバナイチゴ。樹林地に多い。直径2cm以上の立派な実をつけるが、超まずい!!

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イワショウブ。弥陀ヶ原周辺で多く見られました。

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シラネニンジン。これも弥陀ヶ原周辺で多く見られました。


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テガタチドリ。これも初めて見ました!ハクサンチドリに比べると花が小さい。