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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

岐阜県で撮影した植物-185.ヌリトラノオ-

岐阜県ではやや乾燥した岩場でよく目にするのが、このヌリトラノオです。

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岐阜県多治見市にて(3月16日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

トラノオ」という名前は、時々植物名に使われます。オカトラノオトラノオスズカケ、トラノオシダ・・・etc.細く長く伸びる容姿を「虎の尾」に見立てたんでしょうね。ネコ科の動物ではライオン、チーター、ヒョウなど、尾の長い種類は結構ありますが、どうしてトラになったんでしょう?やっぱり、語呂がいいからですかね。

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日向の岩場の個体は日光を反射させ、まぶしいくらいにピカピカです。

「ヌリ」は漆を塗ったようにテカテカしている様子を表しているようです。ただ、樹林内や日陰に生育している個体は、それほど光沢が出なくなります。

ヌリトラノオはチャセンシダ科チャセンシダ属の常緑のシダ植物で、本州(関東以西)、四国、九州、琉球に分布します。岩場に生えることが多いですが、地上に生えることもあります。ヌリトラノオは葉の先に子苗(子供の苗)をつけるのが特徴です。そのため、地表に生育する場合は、マット状に群生している時があります。

ヌリトラノオの特徴は次の3点です。
①大きさと生え方:株状に生えますが、葉の先に子供の苗をつけるため、群生して生える時もあります。葉の長さは30cm以下です。
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②葉:葉は一回羽状複葉(いっかいうじょうふくよう:葉の軸が伸びて小葉が3枚以上付き、葉の軸は分枝しない)で、小葉(しょうよう:1枚の葉が分裂してできた個々の葉のこと)は鋸歯があるか、浅く切れ込みます。葉の軸には翼(よく:ひれ状のひだ)がありません。全体的に光沢があります。
③無性芽:葉の先端に無性芽(むせいが:子供の苗)が付きます。無性芽は全ての葉につくわけではないようですが、ある程度の大きさの個体であれば、必ずといってよいほどいずれかの葉に付きます。この無性芽が地表に付くと、成長して大きな株になります。この無性芽の有無や付く位置の違いが類似種との識別点になります。


似たような植物としては、シモツケヌリトラノオ(無性芽をつけない)、テンリュウヌリトラノオ(無性芽を軸の中ほどにもつけるため、一枚の葉に2-4個の無性芽が付く)があります。チャセンシダも似ていますが、チャセンシダは茎に翼が出ます。