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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

北国で出会った植物-114.オオウバユリ-

ユリの中では、少し異様な存在感を示すのがオオウバユリでしょうか。

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人の背丈より少し低いくらい。北海道稚内市にて(7月16日)。

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花付きがよく、典型的なオオウバユリ。つぼみをあわせて14個の花があります。

漢字で書くと、「大姥百合」。「日本の野生植物」(平凡社によると、花の時期に下の葉が枯れることから、葉を歯にかけ、歯抜けの老婆を連想させた、という感じの由来が書いてありました。ただ、この個体を見る限りでは、そんなに下の葉が枯れている感じはしませんね。しかも、下の葉が枯れてくるのは、多くの植物でおこる共通の事象なので、オオウバユリにだけ老婆を重ね合わせるというのは、ちょっと失礼かな~。でも、ユリのわりには花が地味で、森と同化してひっそりと立ちつくす感じは、変わった容姿から、お化けや妖怪を想像させます(私だけかもしれませんが)。

オオウバユリはユリ科ウバユリ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道・本州(北部・中部)に分布し、樹林地に生育します。名前にユリとはつきますが、花屋さんで切花として売られている普通のユリとは仲間が違います。
ほとんど同じ形で、全体小型のものはウバユリと言い、オオウバユリとウバユリは変種の関係になっています。ウバユリは本州(宮城・石川以西)・四国・九州に分布します。オオウバユリとウバユリの違いは、大きさと花付き程度の差のようで、分布が重なる場所ではどちらか判断するのが難しい場合もあるようです。岐阜県では両者を明瞭に分けられないとして、ウバユリでまとめているようです(岐阜県植物研究会誌より)。

オオウバユリの特徴は、次の2点です。解説より全体の形を見て覚えてもらったほうが早いと思います。
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①葉の形:葉は卵型で大きく、長い柄があります。互生(ごせい:葉が交互に着く)します。
②花:花の色は白っぽい黄緑色で、普通のユリほど開きません。花数は10-20個ぐらいです。ウバユリは花が10個以下が多いようです。


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北海道稚内市にて(9月3日)。

同じ個体を秋にも見に行ってみました。葉が少し枯れかけています。こうなると老婆っぽいですね。驚いたことに果実が19個もついています!夏に見た後も、花をどんどん咲かせたんですね。
花の咲くような個体であれば似ている植物はありませんが、春先だったり、若い個体だと花の付いていないザゼンソウと少し似ています。