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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

飯豊連峰縦走(4日目:本山小屋→飯豊山→ダイグラ尾根→飯豊山荘)

縦走最終日。疲労もピークでしたが、最後に厳しいコースが待っています。ダイグラ尾根は鋸の歯のような小さな岩山がたくさん連なり、アップダウンの多いコースです。とにかく無事の下山を目指します。


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尖った山並が続くダイグラ尾根(8月28日)

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白い樹皮が目立つダケカンバ。強風のせいか、この群落は高さ7m前後(8月28日)。

ダイグラ尾根は南北に伸びる尾根ですが、その特徴は岩尾根と急傾斜です。この尾根に特徴的に出現するのはダケカンバ群落です。ダケカンバは多雪や強風に弱いようで、これまで歩いた主な稜線では風背側(風下側の東斜面)の岩場に小規模なものがあるだけでした。ところが、この尾根では風衝側(風上側の西斜面)にまとまった群落が存在します。今までと逆ですね。
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(ベースの図面は昭文社の登山地図)

この違いはダイグラ尾根の位置が関係していると思います。ダイグラ尾根の西側には北股岳~御西岳の標高の高い主稜線があります。これによってダイグラ尾根にぶつかる西風はいくらか弱まるのだと思います。また、雪は標高の高い主稜線の東側に大量に積もります。ダイグラ尾根にぶつかる頃は雪も少なくなり、急傾斜といった地形で雪も積もりづらいのかもしれません。あくまでも想像です。

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針葉樹林がコメツガ群落。ただし、大きな木の殆どはキタゴヨウで、コメツガは亜高木層以下に多い。コメツガが優占する場合は、より岩場的な環境で、群落高は高いところでも7m程度でした。コメツガが生育できるといっても、コメツガにとっては厳しい環境のようで、立派な林は形成できないようでした。

もう一つ、ダイグラ尾根の特徴的な群落はコメツガ群落です。コメツガは亜高山帯針葉樹林の構成種で、中部山岳の亜高山帯周辺では立派な樹林を形成することがあります。ただ、コメツガ等の亜高山に生育する針葉樹の多くが多雪に弱く、東北地方の日本海側山地では見ることがありません。そのようなコメツガが、ダイグラ尾根周辺の岩場のみに生育するのは、先のダケカンバ同様、ダイグラ尾根の微妙な気象条件を反映しているのかもしれません。

ダイグラ尾根、なかなか面白い植生ですが、このような岩山のアップダウンは最終日にはこたえます・・・。下りで転ぶと滑落しそうだし、常に緊張していたような感じで、とても疲れました。天候は悪くなかったのですが、全体的に写真はあまりとれませんでした。

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エゾシオガマ。鎌のような不思議な形の花です。

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ミヤマママコナ。登山道沿いに多く見られ、心を和ませてくれました。

今回は、これで終わりです。なんとか無事に下山してホッとしました。