身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

河川堤防の植物-164.タチスズメノヒエ-

タチスズメノヒエはスズメノヒエの仲間ですが、容姿はスズメノヒエにあまり似ていません。

イメージ 1
三重県多気町にて(8月17日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

イメージ 2
花序はスズメノヒエやシマズズメノヒエに比べると賑やかです。

「タチ」は漢字で書くと「立」となります。文字からも想像できますが、背丈がかなり高くなります。花序の先端は高いものだと首の辺りまで届きます。花粉症の方は首筋にこんなのがあったら見るだけでムズムズしてきそうですね。ただ、思ったより花粉は飛ばないようです(自分が歩いた際の経験ですが)。
容姿を見ただけでもスズメノヒエとの違いはわかりますが、花序や葉を手にとってみて下さい。スズメノヒエとは毛の生え方が逆(シマズズメノヒエとは毛の生え方が同じ)です。

タチスズメノヒエの特徴は次の4点です。

イメージ 3
①:生え方:株状にはえ、茎は立ち上がり、大きなものは背丈近くに達します。ただ、草刈が行われるようなところでは背丈が低くなるので注意が必要です。
イメージ 4
②:葉と茎:葉と茎の葉鞘(ようしょう:葉の付け根から下側の茎を鞘状に巻いている部分)は無毛です。この部分がスズメノヒエと異なります。
イメージ 5
③花序:花序の形はスズエノヒエに似ていますが、総(そう:写真参照)の数が大きく異なり、交互に1020個つきます。
④花:個々の花は楕円形で、総に多数つきます。花には長い白色の毛があります。シマスズメノヒエと基本的な特徴は同じですが、花はシマスズメノヒエより小さく、雄蕊の葯が黄色(シマスズメノヒエは黒紫色)という点が異なります。


タチスズエノヒエはイネ科スズメノヒエ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、南米原産の外来種です。本州・四国・九州・琉球の草地に帰化しています。私が調査員駆け出しの頃は、こんな植物あまり見かけなかったのですが、最近はよく見かけます。これだけ大きな植物ですから、生えていれば当時でも見落とすことはなさそうなので、図鑑に記載されているように近年増えているのかもしれません。植物体が大きいだけに、スズメノヒエのような小型の植物を駆逐している感じです。かなりやっかいな外来種です。