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家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

簡単に見分けられるシダ-233.コウヤコケシノブ-

コウヤコケシノブは谷沿いの湿った岩場や日陰の岩場等に群生しています。

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愛知県設楽町にて(5月17日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

葉の質がとても薄く半透明で、普通の植物とは雰囲気が異なります。植物をあまり知らない人が見れば、コケなのかシダなのかわからないような植物です。名前にも「コケ」とついているので、「コケっぽい」ということがわかりますね。「シノブ」にはシダという意味があり、「コケシノブ」でコケのようなシダという意味のようです。コウヤは和歌山の高野山にちなんでいるようです。

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葉の質は薄いけど、色合いは濃緑色。小型ということもありコケのようにも見える。

写真を撮影した時は雨が降った日の翌日で、みずみずしい状態でしたが、雨が降らずに乾燥した日が続くと、乾燥ワカメのようにシワシワに干からびた状態になります。そんな状態でも雨が降ると再び写真のようになるので、驚きです。そんな変わった生態もちょっとコケに似ています。

コウヤコケシノブはコケシノブ科コケシノブ属の常緑の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、本州~琉球に分布します。暖地に多いシダなので東北や北陸地方では少ないようです。この仲間は異なる属でも一見すると似ていて、分類の難しい植物ですが、コウヤコケシノブは容易に識別できます。シダが苦手な私でも野外で見分けられる種類なので、簡単に覚えられます

コウヤコケシノブの特徴は次の2点です。
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①根茎:根茎(こんけい:地中にある茎の部分)は横に這い、葉を点々とつけます。根茎は非常に細く殆ど無毛なのがこの属の特徴です。ちなみに根茎に密に毛があるとハイホラゴケ属やアオホラゴケ属といった別の属になります。
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②葉:葉の質は薄く、長さは3-5cm程度、2-3回羽状複葉。大きな特徴は葉の縁に鋸歯がある点です。明るいところにかざせば、肉眼でも見えます。


葉の形や大きさには変異があるようですが、殆ど無毛の根茎と、鋸歯のある葉を確認すれば、琉球でなければ、コウヤコケシノブで間違いないです。