身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

皿ヶ嶺-(愛媛県東温市)-

毎年1回開かれるスゲの会の大会に参加するため、6月上旬に愛媛県を訪れました。この大会はスゲを愛する人々が集う会合で、初日は研究発表会、2日目はスゲを見るための野外エクスカーションという工程になっています。今年の野外エクスカーションでは、皿ヶ嶺という山を訪れました。

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皿ヶ嶺の看板。ちょっと古いですが、こんな感じです。

皿ヶ嶺は標高1270m程度の低山で、山頂付近に広い平坦地が広がり、皿を伏せたような山体をしていることから、このような名前がつけられたようです。低山でそれほど厳しい登りでもないことから、多くの人々がハイキングで訪れる、地元に愛されている山です。

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中央の大木がサワグルミ。胸高直径1m程度はあるかもしれません。素晴らしい樹林です。

このように書くと、明るい二次林的な山を想像してしまいそうですが、驚くなかれ、登山道沿いにはサワグルミやケヤキの巨木が点在する立派な自然林があります!駐車場から20分も歩けばこのような素晴らしい樹林に出会うことができます!

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四国のブナは初めて見ました!四国は温かいイメージですがここは涼しいようです。

さらに登るとブナの巨木も出現します!全体的には湿った環境に成立するサワグルミ群落を主体とした渓畔林的な様相を呈していますが、不思議なことに登山中水の流れるような沢に出会うことはありません。サワグルミ群落はその名の通り沢沿いに多いですが、必ずしも沢に出るわけではないようです。サワグルミ群落は地下水位が高い湿った斜面(なかなかこのような環境は無いと思いますが)にも成立することあるようなので、皿ヶ嶺のサワグルミ群落はちょっと珍しいタイプのものなのかもしれません。

サワグルミ群落は日本全国に分布する群落ではありますが、私がよく見ているのは東北・中部(日本海側~中央付近)地方といった東日本のタイプのものです。そのため、皿ヶ嶺のサワグルミ群落は私の見てきたサワグルミ群落とイメージが異なり、とても新鮮でした。

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オオバヨメナヨメナの仲間は明るい所に生育しますが、これは林内にはえるんですね。

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葉の形が特徴的なギンバイソウ。去年の花の残骸がドライフラワーになっています。

皿ヶ嶺のサワグルミ群落は林床(りんしょう:森林内の地表)に東日本のサワグルミ群落と共通するラショウモンカズラやハシリドコロ(猛毒の植物)といった植物の他、オオバヨメナギンバイソウ、ニシノヤマタイミンガサといった私があまり見ることのない植物が優占していました。このような種組成の違いが森林の雰囲気の違いとなってあらわれるようです。

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湿原としてはちょっと乾燥気味。昔はもっと水がおおかったのかな?

立派な樹林をぬけると目の前に平坦な開けた草地が現れます。皿ヶ嶺の名前の由来となった平坦地で、ここは竜神平です。大半はササの草地(ササの種類は忘れてしまいましたが、ミヤマクマザサに似ています)ですがですが、中央付近の窪地はゴウソ、エゾシロネ等のはえる湿地になっています。

竜神平から120mほど登ると皿ヶ嶺の山頂に着きますが、私はこの日のうちに車で岐阜まで帰る必要があったので、ここで引き返しました。本当はもう1日ぐらい休みをとってゆっくりしていきたかったんだけどな~。短い時間だったけど、いろいろな植物が見ることができたので、よしとしますか。案内をしてくださった地元の皆様、どうもありがとうございました!

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サワルリソウ。それほど多くはないですが普通に見ることができます。

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モミジウリノキ。ウリノキの葉が深く切れ込んだ変種。この山のものは全てこの葉形。

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オオミヤマガマズミ。花の少ない時期でしたが、これは見頃でした。

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ツクシミノボロスゲ。竜神平登山道沿いに群生。東日本では類似種のミノボロスゲが多い。

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イワヤスゲ。この日一番の出会い!こんなに葉が細いのにタガネソウと同じ仲間というのが驚き。スゲの仲間では原始的な部類に属するようです。

皿ヶ嶺の植物等をもっと知りたい方は、こちらに詳しくのっています!