身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

長野県伊那市 黒川

黒川は天竜川水系の支流、三峰川(みぶがわ)の支流です。黒川は三峰川につくられた美和ダムの上流で三峰川に注ぎます。一見すると山間地を流れる普通の上流河川ですが、私にとっては「何だこりゃ~」といった驚きの河川でした。

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黒川の川岸。奥の黒っぽい低木が驚きの原因(8月29日)。

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黒川の川岸。中央の紫色の群落が驚きの原因となった群落(8月29日)。

車を走らせながら河川を眺めると、水際にモサモサと低木が茂っています。通常だと、このような上流の河川ではネコヤナギやオノエヤナギといったヤナギ類が樹林をつくります。しかし、この河川の水際の低木はヤナギではないようです。車から降りてみると、紫色のきれいな花が見えます。正体がわかりました。チチブフジウツギです。

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チチブフジウツギ。別名フサウツギ。3mくらいで、根元で多分枝します(8月29日)。

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花はあざやかな紫色。花序は大きく15cm程度(8月29日)。

しかも、すごい生育量です。川岸がチチブフジウツギで覆われている感じで、これほどの群落は初めて見ました。近づくと、樹高は3m程度にまでなり、中はすごい藪で、真っ暗、殆ど植物は生えていません・・・。

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樹高3-4mのチチブフジウツギ群落。単独で群生し、すごい数です・・・(8月29日)。

チチブフジウツギは、「秩父」と名前につくものの、外来種と考えられています。中国原産の園芸植物として渡来とされていますが、渡来年代等の詳細はわかっていないようです。このような外来の木本が群落を形成する場合、緑化等で人為的に導入するか、導入後勝手に分布を広げてしまうパターンが多いような気がします。ハリエンジュ(ニセアカシア)やイタチハギなんかが、その代表例で、これらの群落は各地でよく見かけます。しかし、園芸植物由来と考えられている木本が、ここまで立派な群落を形成するとは、かなり驚きです。園芸植物が持ち込まれやすい都市河川なら考えられなくもないですが、家もまばらな山間地で、増水の影響を受ける河畔に・・・ここまで分布拡大することってありえる?
しかも、チチブフジウツギは天竜川水系ではごく普通なのか、全く家のないような近隣の渓流でも小規模な群落を形成していました。なんでこんな山奥に園芸植物の群落が~?

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大鹿村小渋川で見たチチブフジウツギ群落。ここは周辺に家がある(9月1日)。

私のように不思議がる人達は、植物の専門家にもいらっしゃるようで、チチブフジウツギは石灰岩地の在来の植物ではないかという説もあるようです(山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物そういえば、黒川の近くにはパワースポットとして有名な分杭峠があります。なんでもゼロ磁場(詳細はよくわかりません)として、不思議な場所のようです。黒川のチチブフジウツギ群落といい、この辺りは自然のミステリーがいっぱいのようです。