身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

覚えておきたい落葉高木-119.コナラ-

コナラはかなり身近な樹木だと思います

イメージ 1
群馬県長野原町にて(6月22日)。以下、撮影日・撮影場所同じ。

イメージ 2
葉の色合いはかなり濃い緑色。常緑樹の色合いに近い。

特にカブトブシ、クワガタムシを取りに行ったことがある人なら、きっとご存知でしょう。私が小さい頃住んでいた神奈川県では、コナラ、クヌギを真っ先に探しに行きましたね。ですから、コナラを知らないとカブトムシ、クワガタムシをつかまえることができません。

コナラはブナ科コナラ属の落葉高木(らくようこうぼく:冬に葉が落ちる木。高さの決まりはないですが、10m以上はあります)で、北海道・本州・四国・九州に分布します。コナラ属と言うとなんだか難しいですが、「どんぐり」のなる木と言えば、「あーあの木か」と思い浮かべることができるでしょう。そんな「どんぐり」のなる木の中で、コナラは最も分布域の広い木であるとともに、優占する樹林を形成します。

イメージ 5
コナラが優占する落葉広葉樹二次林。樹高は16~18mくらい。

コナラ林の多くは、落葉広葉樹二次林(らくようこうようじゅにじりん:原生林が人為的もしくは自然災害で破壊された後に、自然に再生した森林。一般的には若い林が多い。)というタイプの森林です。白神山地のブナ林のように殆ど人手が入っていない自然林とは異なり、以前は人々の手によって管理されていた森林です。最近は管理されることのない森林が多く、かなり立派なコナラ林もありますが、昔は炭焼き等に利用されていたため若い森林が多かったようです。
コナラが生育する気候は、常緑広葉樹が生育するような暖かい地方から、ブナが生育するような涼しい地方までと、かなり幅が広いです。そのため、コナラ林は冷温帯(れいおんたい:東北地方や中部地方を主体とした涼しい地域。私の住む岐阜あたりだと標高7001600mくらいの地域)より低い標高では日本で最も面積の広い落葉広葉樹二次林といえます。

コナラの特徴は次の4点です。

イメージ 6
①幹:幹は縦に深いひびわれが生じます(写真は岐阜県岐阜市にて。3月20日。)
イメージ 3
②葉の形:葉は互生します。葉の中程より上部が幅広くなる、倒卵型(とうらんけい:葉の情報が幅広くなり、卵形を反対にしたような形)の葉です。はっきりとした葉柄(ようへい鋸歯(きょし:葉のぎざぎざ)があります。
③葉脈と毛:定規でひいたような真っ直ぐな明瞭な脈が目立ちます。葉裏には毛があり灰白色になります。

イメージ 4
新緑のコナラ林。白っぽい緑色が全てコナラ。この色合いが特徴的。長野県木曽町にて(5月5日)。
④若葉の色:若葉は白っぽい緑色です。若葉の時期の色は特徴的で、慣れれば遠くから見ても似たようなミズナラと区別できます(ミズナラの若葉は鮮やかな黄緑色)。

似たような植物にはミズナラがありますが、ミズナラは葉柄が殆どなく、鋸歯が大きく、葉裏は白っぽくなりません。また、コナラの葉の形には結構変異があり、慣れないと別な植物?と思ってしまうこともあるかもしれません。「日本の野生植物」(平凡社の図鑑では、アオコナラ、テリハコナラ、マルバコナラといった変種に区別できるとあります。ただ、私はこの違いを認識できてはいません(地方ごとに違いがあるならよいのですが、観察が足りないのか個体差としか見えない)。