身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

秋のお彼岸の花-331.ヒガンバナ-

秋のお彼岸(今年は9月25日が彼岸明け)を過ぎたら急に涼しくなり、10月に入ってからは半袖短パンではちょっと肌寒いかもという感じになってきました。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言い当てています。そんな秋のお彼岸を代表する花と言えばヒガンバナですね。

f:id:shimisyoku:20201003060341j:plain

岐阜県関市にて(9月27日)。以下、記載ないものは撮影場所・撮影日同じです。

この花を知らない人はいないでしょう。群生地が観光スポットになるくらいですものね。紹介するまでもないですが、ちょっとした豆知識を。

f:id:shimisyoku:20201003060601j:plain

鱗茎で増える多年草なので群生することが多い。1本の茎からはこんな感じ。

ヒガンバナヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、日本全国に分布します。日本全国に分布するので在来種と思われる方もいるかもしれませんが、古い時代に中国から渡来したと言うのが通説です。いつ誰からどのように聞いたかは忘れてしまいましたが😅、梱包材として伝わったとのことです(諸説あるかもしれません)。今で言えば、通販の発砲スチロールの梱包材といったところです。どの部分を梱包材に用いたのかは少々謎ですが、球根(正確には鱗茎)か、葉といったところでしょうか。本来の在来種ではないという証拠ではありませんが、基本的には実ができないため、種子ができません。ですから、日本全国への分布は基本的に人が持ち運んだと考えるのが妥当なようです。

f:id:shimisyoku:20201003060918j:plain

どこを見ても葉らしいものが無い…。どれが葉?

梱包材で話題になったヒガンバナの葉、どこにあるかわかりますか?正解は「ヒガンバナの葉は無い」です。正確には「今は葉が無い」です。

f:id:shimisyoku:20201003061120j:plain

枯草の中で青々と茂るヒガンバナの葉。多少の霜は平気みたい(2月16日)。

ヒガンバナの葉は晩秋に伸びて冬から春の間は青々と茂りますが、夏になると枯れてしまい、秋のお彼岸の頃になると花茎だけを伸ばして花を咲かせます。

f:id:shimisyoku:20201003061431j:plain

こんな感じで水田の畦に帯状に生育することが多い。モグラ除けの結界か?

ヒガンバナが人里に多いのは、人が植えたからですが、植えた理由は「花がきれい」というだけではないようです。ヒガンバナは有毒植物で、鱗茎(球根)にアルカロイド系の毒素を含みます。そのため、ヒガンバナを畑や水田の周囲に植えておくとモグラが入ってこないというのを聞いたことがあります(真偽は不明)。また、鱗茎の毒は鱗茎をつぶして何回も洗うと毒素が抜けて澱粉が取り出せます。そのため、飢饉の時の非常食として植えたという話もありますね。

f:id:shimisyoku:20201003061647j:plain

こんなに美しい花なのに縁起の悪い名前が多い。そのせいか切り花にされることも少ない感じがします。切り花にされないのは花が長持ちしないことも関係か。

ヒガンバナの別名はマンジュシャゲ死人花、幽霊花、毒花…、地域によって非常にたくさんあるようです。彼岸や有毒という視点からオドロオドロしい感じのものが多いですが、別名が多いということは人々との関りが深かったことが読み取れます。

f:id:shimisyoku:20201003062306j:plain

お花見は人様だけではないようです😄。誰がどこで花をめでているかわかりますか?

ヒガンバナの1個の花は4日程度しか持たないようです。まだ見頃だと思うので(今年は開花が遅かったような気がするのは気のせいか🤔)、ヒガンバナを見ながらの気持ちいい散歩がこの時期はおススメです。

f:id:shimisyoku:20201003062636j:plain

①葉:冬場に30cm前後の細長い葉を密につけます。質感はゴムのような感じで、深い緑色、中央にうっすらと白線が出ます。

f:id:shimisyoku:20201003062659j:plain

②花:説明はいりませんね。黄色いヒガンバナがあったら、それはショウキズイセンです。白いヒガンバナがあったら、それはショウキズイセンヒガンバナの雑種のシロバナマンジュシャゲだそうです。