身近な自然もいいね!

家庭菜園や庭の記録。日本各地の自然環境や身近な植物(時々珍しい植物)を紹介しています。

小清水原生花園-(北海道斜里郡小清水町)-

北海道に行くと原生花園をどうしても見たくなります。原生花園は海沿いの砂丘にあるので、どこも似たり寄ったりの景観だと思うのですが、よーく見ると細かいところで違っていたりするんですよね。そんな訳で、今回は仕事が終わってから小清水原生花園に寄ってみました。

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遊歩道入口の看板。看板の植物でこの日見ることができたのはハマナスだけ。

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かわいい駅舎。1両からなる汽車が通り、少し乗りたくなった(笑)。

小清水原生花園は遊歩道が整備され、車だけでなく、汽車で訪れることもできます。その名も原生花園駅!原生花園を車窓から眺めながらの旅も優雅でいいですね~。ちょっとあこがれてしまいます。ただ、駅で降りたら次の電車まで相当時間があると思うので、その辺りはよく計画をたてたほうがよさそうです。

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原生花園の草原。海の向こうに知床の山々が見えるようですが、生憎の天気でした。

原生花園の遊歩道周辺の植生は、海岸砂丘にできたハマニンニクとハマナスを主体とした草原が殆どです。そして季節に応じてエゾキスゲ、エゾスカシユリ、エゾフウロ、エゾカワラナデシコ等の様々な花が咲き乱れます。

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エゾキスゲ。最後の花といった感じでした。これが咲き乱れたらきれいだろうな~

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ハマナス。この個体はきれいでしたが、きれいに咲いている数は少なかった。

エゾキスゲやエゾスカシユリが咲いていると絵葉書なような写真になるのでしょうが、訪れた7月下旬にはこれらの主役の花は殆ど終わっていました。以前、ワッカ原生花園を訪れたのもこの時期で、なかなか「すげ~!」といった風景にはお目にかかれませんね😅。まあ、仕事のついでなのでしょうがないですが…。

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ハナショウブは終わり、タチギボウシには少し早い時期。遠くに馬が見えます。

海岸砂丘の線路や国道を挟んだ反対側は涛沸湖(とうふつこ)へと続く草原になっており、こちらはやや湿った環境にあるようです。ノハナショウブヒオウギアヤメ、タチギボウシ等の紫色系の花が多く咲いていましたが、こちらも訪れた際は花が少なめでした。

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花の咲くきれいな草原を永続的に維持することは、日本では気候的に難しいんですね。

この原生花園の草地は、その昔は野火と馬の放牧、増水時の河川による砂の供給によって維持されていたようです。しかも野火は蒸気機関車の出す火の粉が原因というのですから、何とものんびりしています。その後時代が進むと、蒸気機関車が走らなくなり、馬の放牧も無くなり、河川には堤防ができて砂の供給も減ってきました。そうなると砂丘の植生は安定して、植生遷移も進行し、1980年代には花の少ない藪状の原野となってしまったそうです。現在は定期的に火入れが行われ、再び花の咲く原野へと復活していますが、百花繚乱の草原は人間との関りで維持されている半自然的な景観なんですね。半自然的とは言っても、これほど広い草原は日本でも北海道を除けばそれほど残されていないので、大自然と言って間違いはないでしょう。

花の少ない時期ではありましたが、それなりに楽しめるのが原生花園のよいところ。7月下旬に見頃を迎えていた花を紹介します。

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ヒロハクサフジマメ科のつる植物です。青色が淡いので少し地味。

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エゾフウロハマフウロとの違いが難しいですが葉の切れ込みが深かったのでエゾと判断しました。ただ、この仲間をきれいに分類できるのか、やや疑問です。

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ナミキソウ。植被のまばらな砂地で多く花を咲かせていました。

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キタノコギリソウ。もう少し淡いピンク色のものが多かったが、これは特に赤色が強かった。別名ホロマンノコギリソウ。

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カセンソウ。海辺にはえるのにカセンソウ😅。小さな向日葵みたいです。訪れた7月下旬では、一番きれいに咲いていました。

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ハマボウフウ。砂が風で動くような厳しい環境に生育します。

サロマ湖畔のワッカ原生花園の方が遊歩道は長く、見ることができる環境が多いせいか、観察できる植物が少し多い印象を受けました。